気温と湿度が高くなる季節には、熱中症への注意が必要です。熱中症は炎天下で運動しているときだけでなく、室内や就寝中にも起こります。特に高齢者、子ども、糖尿病・心臓病・腎臓病などの持病がある方は、早めの対策を心がけましょう。
熱中症はなぜ起こるのでしょうか
暑い環境で運動や作業をすると、体内で多くの熱が作られます。通常、私たちの体は汗をかき、皮膚から熱を逃がすことで体温を調節しています。
しかし、気温や湿度が高い環境で活動を続けると、汗によって水分と塩分などの電解質が失われます。脱水が進むと血液の流れが悪くなり、汗をかきにくくなって、体内に熱がこもります。その結果、体温調節がうまく働かなくなり、めまい、頭痛、吐き気、だるさ、筋肉のけいれんなどの症状が現れます。
屋外では水分と電解質を補給しましょう
夏の炎天下でスポーツや肉体労働をする場合は、水分だけでなく、ナトリウムなどの電解質も急速に失われます。
屋外で長時間活動するときは、次の点を心がけてください。
• のどが渇く前から、こまめに水分をとる
• 大量に汗をかいたときは、水分とともに適度な塩分を補給する
• スポーツドリンクなどを携帯する
• 日陰や冷房の効いた場所で定期的に休憩する
• 暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートを確認する
• 体調が悪いときは無理に運動や作業をしない
なお、スポーツドリンクには糖分が多く含まれる製品があります。糖尿病の方が日常的に多量に飲むと、血糖値が上昇する可能性があります。糖分の少ない製品を選ぶか、どの飲料が適しているか主治医にご相談ください。
経口補水液は「普段の水分補給用」ではありません
経口補水液(OS-1など)は、水分と電解質を効率よく補給できるように作られた飲料です。汗を大量にかいた、下痢や嘔吐がある、脱水症状が疑われるといった場合に役立ちます。
一方、経口補水液には通常の飲料より多くの塩分やカリウムが含まれています。そのため、普段の水やお茶の代わりとして常用するものではありません。
高血圧、心不全、腎臓病などで水分・塩分・カリウムの制限を受けている方は、自己判断で飲まず、医師にご相談ください。
室内でも熱中症は起こります
「家の中だから大丈夫」とは限りません。風通しが悪い部屋や、日当たりのよい部屋では、室温と湿度が想像以上に高くなることがあります。暑さを我慢せず、エアコンや扇風機を適切に使用しましょう。
室内で通常の生活をしている場合は、汗を大量にかいていなければ、過度に塩分や電解質をとる必要はありません。水やお茶などを少量ずつ、こまめに飲み、塩分は基本的に毎日の食事から適度にとりましょう。
特に高齢者は、暑さやのどの渇きを感じにくいことがあります。本人が「暑くない」「のどは渇いていない」と話していても、室温を確認し、周囲の方が水分摂取やエアコンの使用を促すことが大切です。
就寝中の熱中症にも注意しましょう
夜間も室温が高い状態が続くと、寝ている間に熱中症になることがあります。通気性・吸水性のよい寝具を使い、必要に応じてエアコンや扇風機を利用してください。
十分な睡眠をとることは、翌日の熱中症予防にもつながります。就寝前と起床時に、コップ1杯程度の水分をとることもおすすめします。ただし、心不全や腎臓病などで水分制限を受けている方は、主治医の指示に従ってください。
暑さに負けにくい体をつくりましょう
暑さに備えるには、気温が上がり始める初夏から、無理のない範囲で体を暑さに慣らしておくことが大切です。
ウォーキングなどの軽い運動を日常的に行い、適度に汗をかく習慣をつけましょう。また、バランスのよい食事と十分な睡眠を心がけ、疲労をためないことも重要です。
ただし、急に暑くなった日や体調がすぐれない日は、無理に運動してはいけません。
熱中症が疑われたときの対応
めまい、頭痛、吐き気、強いだるさ、大量の発汗、筋肉のけいれんなどが現れたら、まず冷房の効いた室内や日陰など、涼しい場所へ移動してください。衣服をゆるめ、首、わきの下、足の付け根などを冷やします。
意識がはっきりしていて、吐き気や嘔吐がなければ、経口補水液などで水分と電解質を補給します。
• 呼びかけに対する反応がおかしい
• 意識がもうろうとしている
• 自分で水分を飲めない
• 嘔吐を繰り返している
• 全身のけいれんがある
• 体が非常に熱い
• 涼しい場所で休んでも症状が改善しない
次のような場合は、ためらわず119番へ連絡してください。
救急車を待つ間も、できるだけ早く体を冷やし続けることが重要です。
暑い環境で、頭痛、吐き気、嘔吐、強いだるさなどが現れた場合は、体温が高くなくても熱中症の可能性があります。ただし、これらの症状は他の病気でも起こるため、症状が強い場合や改善しない場合は医療機関を受診してください。
熱中症は、正しい知識を持って行動すれば予防できる病気です。「暑さを我慢しない」「のどが渇く前に水分をとる」「体調が悪いときは無理をしない」を心がけ、暑い季節を安全に過ごしましょう。

