No3. 健診で異常を指摘 脂質代謝異常編
健診で異常を指摘された場合、いくつかの判定の結果、医療機関への受診を勧められる場合があります。この場合にはなるべく早く受診することをお勧めします。ただ、その前に異常の内容をあらかじめChatに尋ねて、基礎知識を得ておくと医師との会話がスムーズになると思います。また、Chatの回答と医師の説明が大きくずれている場合には素直に医師に従うことなくいろいろと質問してみると良いと思います。特に生活習慣病では薬を始めるか生活習慣の改善から始めるかはポイントとなると思います。データの異常がどの程度かにもよると思うので予習した上で医師と相談するとよいと思いますがその際にChatの活用が大変有用だと思います。例を挙げます。
質問1 55歳女性、健診で悪玉コレステロール(LDL)が155と診断された。医師と相談するようにいわれた。
Chatの回答: 健診でLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が155 mg/dLという結果ですね。
この値は日本動脈硬化学会の基準では**「高LDLコレステロール血症(140 mg/dL以上)」**にあたります。
1. 危険度の見方
LDL値の意味は、心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化性疾患の将来リスクを反映します。
評価にはLDLの数値だけでなく、次の項目も総合的に見ます。
- 年齢・性別
- 喫煙習慣
- 高血圧の有無
- 糖尿病の有無
- 家族に若くして心筋梗塞や脳梗塞になった人がいるか
- 中性脂肪やHDL(善玉コレステロール)の値
2. 一般的な対応方針
- 生活習慣の改善が第一歩
- 食事:飽和脂肪酸(肉の脂、バターなど)やトランス脂肪酸を減らし、魚・大豆製品・野菜を増やす
- 運動:有酸素運動(速歩など)を週150分以上
- 体重管理:BMIを22前後に近づける
- 禁煙
- 薬物療法(スタチンなど)
- 他のリスク(糖尿病、高血圧、喫煙、家族歴など)がある場合は早期に検討
- 心血管疾患既往がある場合は、より厳格な管理(LDL < 100、場合によっては < 70)
3. 次にすべきこと
- 健診結果を持って内科(できれば循環器内科)で相談
- HDLコレステロールや中性脂肪、血糖値、血圧の値も確認
- リスク総合評価(日本動脈硬化学会のリスクチャートなど)を受け、薬が必要か生活改善のみで様子をみるかを決定
⚠️ ポイント
LDLが140を超えている場合、他のリスクが高ければ薬の開始を勧められることがあります。
逆にリスクが低ければ、まず3か月〜半年の生活改善でどこまで下がるかを見るのが一般的です。
もしよければ、この方の他の健診項目(血圧、HDL、中性脂肪、血糖など)を教えていただければ、薬が必要かどうかの目安を具体的にお示しできます。
このChatの結果も大変適格だと思います。55歳女性でLDLが高くなるのはよくあることで、閉経後の代謝の低下によるものですので、一般的にはすぐに薬物療法を開始することはないと思います。この回答は、よほどの他のリスクがなければ生活習慣の改善をまず試みるべきということがご理解いただける内容です。最後に「もしよければ・・」とあるので具体的な値を列記してもう一度聞いてみることにします。
質問2 はい、薬が必要かどうかの目安を教えてください。血圧は120/80前後、HDL60,中性脂肪は150、空腹時血糖値は100でした。
Chatの回答: いただいた数値をもとに、日本動脈硬化学会の「冠動脈疾患予防のための脂質異常症治療ガイドライン(2022年版)」に沿って薬物治療の目安を整理します。
1. リスク評価
- LDLコレステロール:155 mg/dL(高LDLコレステロール血症)
- 血圧:120/80 mmHg(正常)
- HDLコレステロール:60 mg/dL(良好)
- 中性脂肪:150 mg/dL(境界域高値)
- 空腹時血糖値:100 mg/dL(正常上限)
- 糖尿病・高血圧・喫煙歴・心血管疾患の既往:記載なし(ここではないと仮定)
これらを総合すると、動脈硬化リスクは低〜中等度と考えられます。
2. ガイドラインの薬物開始目安
リスクが低〜中等度の方では、
- LDLが 160 mg/dL以上 → 薬物療法を検討
- LDLが 140〜159 mg/dL → まず生活習慣改善(3〜6か月)、改善しない場合に薬物療法を検討
今回のLDL 155は 生活改善優先ゾーン に入ります。
3. 推奨される対応
- 3〜6か月間の生活習慣改善
- 飽和脂肪酸(肉の脂、バター、チーズなど)やトランス脂肪酸を減らす
- 魚・大豆製品・野菜・海藻類を増やす
- 有酸素運動(速歩30分、週5回)
- 体重を適正化(BMI 22前後)
- アルコールを控える(特に中性脂肪高めの場合)
- 再測定
- 3〜6か月後に再度LDLを測定
- 140未満に下がれば生活習慣を継続
- 改善しなければ薬物療法(スタチンなど)を検討
4. 例外的に薬を早く始めるケース
- 家族に50歳未満で心筋梗塞・脳梗塞になった方がいる(家族性高コレステロール血症疑い)
- 既に動脈硬化の所見がある(頸動脈エコーやCTでプラークが見つかったなど)
- 糖尿病や慢性腎臓病を合併
まとめ
現時点では薬をすぐに始める必要は低く、まず生活改善での経過観察が推奨されます。
ただし、家族歴や動脈硬化の有無で方針が変わるため、医師とリスク評価を行うことが大切です。
回答は予想通りでした。Chatはよく勉強や経験豊富な医師と同等の回答を導き出しています。まずはChatに相談が有用です。